東大COD-カレッジ・オブ・デザインで測られる能力とは?早慶の帰国子女やAO受験との決定的な違いは?東大の研究現場にいた私が語る「知力×行動」の証明法
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東大COD-カレッジ・オブ・デザインで測られる能力とは?早慶の帰国子女やAO受験との決定的な違いは?東大の研究現場にいた私が語る「知力×行動」の証明法
東大カレッジ・オブ・デザイン(CoD)は、活動実績と夢の大きさを競う入試ではありません。
測られているのは、2つの力の掛け算です。ひとつは、東大の研究者と対話できるだけの「知力と知的好奇心」。もうひとつは、社会課題に対して実際に動き、人を巻き込んできた「行動力とリーダーシップ」。このどちらか片方では受かりません。そして合格するのは、たとえ今は自信がなくても、この2つが自分に「ある」ことを、エッセイ・ビデオ課題・活動記録・面接という場で証明しきった人だけです。
私は女子学院から東京大学に現役で進学し、薬学部から大学院薬学系研究科の修士課程まで、東大のアカデミアの中で過ごしました。海馬——記憶を司る脳の部位——の神経回路を研究し、研究成果は査読を経て国際誌に共著論文として掲載されました。研究室では後輩の研究にも関わってきました。
その立場から、はっきりお伝えします。東大の先生は、話せば10秒で相手の思考の深さを見抜きます。そして書類を見れば、実際に動いた人かどうかも見抜きます。この記事では、東大の研究室で実際に何が行われているのか、東大にはどんな人たちがいるのかを具体的にお見せしたうえで、CoDの選抜がなぜあの形をしているのか、2つの力をどう証明すればいいのかまで解説します。
私が東大の研究室でやっていたこと。「知力」の正体
まず、「東大レベルの知力」の正体を知るには、東大の研究室で日々何が行われているかを知るのが一番の近道です。
私が取り組んでいたのは、海馬の「苔状線維」という神経線維が、どのような仕組みで枝分かれを制御されているのかというテーマでした。神経細胞を培養して育て、枝分かれを観察し、それを制御する分子の働きを調べる。この制御の仕組みは、脳がどう発達するかの理解につながり、さらに、神経線維が異常に伸びてしまうことが知られているてんかんという病気の理解にもつながっています。
「記憶の仕組みを解明したい」——それだけ聞けば、大きな夢に聞こえるでしょう。しかし研究の現場でやることは、その大きな夢を検証可能な小さな問いに絞り込む作業です。
そして実験は、失敗の連続です。仮説を立て、実験系を組み、うまくいかず、条件を変え、また試す。うまくいかなかったとき、「なぜダメだったのか」を仕組みで説明できなければ、次の一手が打てません。週次の研究室ミーティングでは「その実験で何が言えて、何が言えないの?」「で、結局あなたの問いは何?」という問いが飛び、論文を読む抄読会での訓練は「読む」ことではなく「疑う」こと。成果がまとまれば匿名の専門家による査読が待っていて、反論に追加データで応えて初めて論文になります。
つまり東大のアカデミアで「頭がいい」とは、知識の量のことではありません。仮説を立て、動いて確かめ、失敗を言語化し、また考える——このループを回し続ける力のことです。これがCoDの求める人物像の筆頭にある「知力と学習能力」の正体です。
東大にはどんな人たちがいるのか?あなたの書類を読み、面接する人たち
あなたのエッセイを読み、面接であなたの前に座る「東大の先生」がどんな人たちかも知っておいてください。
東大の教授たちは、世界でまだ誰も答えを知らない問いに人生を賭けている人たちです。日常的に接していて印象的だったことが3つあります。
第一に、質問が「感想」ではなく「検証」であること。発表を聞いて「すごいですね」とは言いません。「それはどうやって確かめたのですか」と聞きます。
第二に、「わからない」と平気で言うこと。わかっていることと、わかっていないことの境界線を正確に引けること自体が知性だと、全員が理解しているからです。
第三に、権威や流行に流されないこと。誰が言ったかは関係なく、データと論理だけが通用する世界で生きています。
学生も同じ文化の中にいます。私のいた薬学部は進学選択(進振り)でも高得点が必要な学部で、周囲はほぼ研究者志向。授業の外で原著論文を読み、議論そのものを娯楽として楽しむ人たちでした。この人たちが、毎年何百通もの「興味があります」「夢があります」を読む側に座ります。装った好奇心と本物の区別に、10秒もかかりません。
ただし、CoDは研究者を育てる学部ではありません
ここからが重要です。CoDのカリキュラムを見ると、東大が従来の学部と違うものを求めていることがわかります。
CoDでは、デザインの方法論を学ぶ授業群で、批評的思考だけでなくリーダーシップ、ファシリテーション、チームワーク、包摂性を身につけることが明示されています。2年次からは社会課題に取り組むプロジェクト型の授業が始まり、4年次には全学生が国内外の企業や国際機関で約半年間の長期インターンシップを行います。集大成も、まずチームでのグループプロジェクト、その後に個人プロジェクトという設計です。
つまりCoDが育てたいのは、実験室で問いを立てる研究者ではなく、社会の中で、他人と一緒に、課題解決のループを回せる人です。
これは「求める人物像」にもはっきり表れています。知力・英語力・思考力に続いて、「責任感、社会正義感、包摂性」「自主性及び協調性」が並んでいる。学力の入試でこうした価値観・行動特性を明記するのは、東大として異例のことです。頭がいいだけの人は、いらない。誰かのために動いたことがあり、違う立場の人と協働できる人が欲しい——そう宣言しているのです。
先ほどの「思考のループ」で言い換えれば、こうなります。研究者は実験室でループを回す。CoD生は、社会でループを回す。そしてリーダーシップとは、そのループに他人を巻き込む力のことです。
リーダーシップとは「役職」のことではありません
ここで多くの受験生と親御さんが誤解するのが、リーダーシップの意味です。
生徒会長、部長、委員長——役職はリーダーシップの証明になりません。先生が任命した肩書きは、「選ばれた」ことの証明であって、「動かした」ことの証明ではないからです。
東大の先生たちが見ているリーダーシップは、次の3つに分解できます。
①自分から始めたか(自主性)。誰かに言われてやったのか、自分で問題に気づいて自分から動いたのか。ここが最初の分かれ目です。
②人を巻き込んだか(協調性・包摂性)。一人で頑張った話は、努力の証明にはなってもリーダーシップの証明にはなりません。自分と違う立場・違う意見の人を、どう動かしたか。反対されたとき、どうしたか。
③結果に責任を持ったか(責任感)。うまくいかなかったとき、人のせいにせず、原因を分析して次の手を打ったか。ここは研究の「失敗の言語化」とまったく同じです。
そして「社会正義感・包摂性」が明記されている意味も重く受け止めるべきです。あなたの課題解決は、誰のためのものか。一番困っているのは誰で、その人たちは意思決定の場にいるのか。取り残される人はいないか。この視点がないエッセイは、どれだけ賢く書けていても、CoDの求める人物像から外れます。
選抜の一つひとつは、「知力×行動」の証明の場として設計されている
この前提でCoDの募集内容を読み直すと、書類の意図が見えてきます。
学力の下限は明示されています。国内生向けのRoute Aは共通テストで概ね8割以上が目安、海外生向けのRoute BはIB・SATなどの統一試験の成績が要件。総合型だから一般入試ほどの頭脳がなくてもいい、ということではありません。学力免除ではなく「学力+α」の入試です。
エッセイで測られるのは、問いの解像度と当事者性です。「環境問題を解決したいです」は夢であって問いではない。どの課題の、どの部分がボトルネックで、誰が一番困っていて、既存の解決策はなぜ届いていないのか——ここまで絞り込めているか。そしてもうひとつ、その問いに対して、あなたはもう動き始めているか。まだ何もしていない人の「解決したい」は、先生たちには願望にしか見えません。
活動記録が「3件×各100語+証拠資料」なのは、偶然ではありません。100語では羅列は書けず、証拠必須なのでやっていないことは書けません。ここは「知力×行動」のポートフォリオ設計の場です。3件で、①考える力(活動から何を一般化し、次のどんな問いにつながったか)と、②動かす力(自分から始め、人を巻き込み、責任を持った経験)の両方が見える組み合わせになっているか。同じ部活の実績を3つ並べるのは、最ももったいない使い方です。
ビデオ課題は、台本を排除する設計です。出願後の指定期間に出願システム上で録画・提出する方式なので、業者が磨き上げた動画は出せません。見られているのは、その場で英語で考える力です。
そして面接は、査読だと思ってください。面接官は面接官である前に研究者で、「主張→根拠→反論→再反論」の応酬が職業的習慣の人たちです。準備した模範解答は一段掘られた瞬間に崩れます。見られているのは、予想外の問いへのその場の思考と、指摘を受けて修正する速さ——つまり「学習能力」です。さらにRoute Aの選考は駒場キャンパスで終日かけて行われます。個人面接だけなら終日は要りません。他の受験生との協働場面で、ファシリテーションや包摂性——人の意見を活かせるか、マウントを取らないか——が観察される可能性も想定して準備すべきです(実施内容は必ず最新の募集要項で確認してください)。
知的好奇心も行動も、「記録」でしか証明できません
「〜に興味があります」と言う受験生に、先生はこう聞くだけです。「それについて、何を読みましたか。」
本物の知的好奇心とは、心の中の気持ちではなく、調べずにいられない状態のことです。読んだ本や論文、自分で試したこと、会いに行った人、始めてしまった活動——本物の好奇心と行動力は、必ず記録に変換されています。書類と面接で証明できるのは、その記録だけです。
私自身の転機もこれでした。中高時代、成績が伸びたきっかけは勉強時間を増やしたことではなく、数学の定理の証明の美しさに心から納得した瞬間でした。そこから自然科学の合理性そのものが面白くなり、結果として全教科が伸びていった。好奇心は成績の結果ではなく、原因です。そしてそれは生まれつきの才能ではなく、正しい入口から入れば誰でも点火するものだと、私は自分の経験からも、研究室で見てきた多くの人たちからも確信しています。
よくある不安に答えます
「一般入試レベルの学力に自信がありません」——下限は共通テスト8割目安・統一試験という形で示されています。まずそこを満たす計画を立て、そのうえで思考の型を鍛える。順序を間違えないことです。
「リーダー経験がありません」——役職は要りません。自分から始めて、人を巻き込み、責任を持った経験なら、文化祭の一企画でも、地域の小さな活動でも証明になります。逆に、生徒会長でもこの3点が語れなければ証明になりません。
「活動が平凡です」——測られるのは派手さではなく、抽象化の深さと行動の当事者性です。平凡な活動から鋭い問いを立て、実際に動いた3件は、華やかな実績の羅列に勝ちます。
「帰国生ではないので英語が不安です」——検定スコアは出願要件として必要です。ただし面接で見られるのは流暢さより「英語のまま考えられるか」。一朝一夕には身につかないからこそ、早く始めた人から順に有利になります。
なぜ「自分一人では無理」なのか
ここまで読んで、「今の自分にはまだない」と感じたかもしれません。それで当然です。ここまで考えて出願できている受験生は、ほとんどいません。
ただし、ひとつだけ独学では越えられない壁があります。自分の論理の穴は、自分では見えないのです。脳は、自分の考えを「正しい」と感じる証拠ばかりを集めるようにできています。だからこそ、あの東大の研究者たちでさえ、指導教官のゼミで詰められ、査読で反論されて、初めて研究者になります。一人で研究者になった人はいません。
行動も同じです。どの活動を始め、何を証拠として残し、3件をどう組み合わせて「知力×行動」を証明するか——出願の直前ではなく、いま逆算して設計する必要があります。エッセイ・ビデオ・活動記録・面接のすべてで一貫した証明を作るのは、一人ではできません。
アルファで、「知力×行動」の証明を一緒に設計しましょう
アルファ・アドバイザーズは18年間で累計8万名以上を、受験から就活・トップキャリアまで一貫してサポートしてきました。CoDについても、海外トップ大学との併願設計を含め、出願戦略の段階から多くのご相談が集まっています。
私自身が東大のアカデミアで鍛えられた「問いの詰め方」で、あなたの志望理由を何段も掘り下げます。そして、いまから間に合う行動の設計まで一緒にやります。今できていなくて当然です。ここから一緒に、証明できる状態を作りましょう。
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坂下絵美
女子学院→東京大学薬学部→同大学院薬学系研究科 薬科学専攻 修士課程修了(薬品作用学教室・海馬の神経回路研究、査読論文共著)→コロンビア大学教育大学院にて臨床心理学を研究。アルファ・アドバイザーズCOO(2020年〜)。アルファは18年間で累計8万名以上の受験・キャリアをサポート。