「塾に通わせても勉強しません。このままなら中堅止まり。いっそ自宅学習に切り替えるべきでしょうか」小4男子・塾を活かせない子の正しい立て直し方【小4・塾か自宅か】
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「塾に通わせても勉強しません。このままなら中堅止まり。いっそ自宅学習に切り替えるべきでしょうか」——小4男子・塾を活かせない子の正しい立て直し方【小4・塾か自宅か】
アルファジーニアスに届くご相談で、実はいちばん多いのは、劇的な話ではありません。「特に問題児ではないけれど、勉強しない」「塾に通わせているけれど、お金を捨てている気がする」。今日は、その典型的なご相談にお答えします。
ご相談(東京都・小4男子のお母さま)
小4の息子のことでご相談です。
小3の2月から大手塾に通っています。偏差値は48前後です。入塾時は52あったので、少しずつ下がっています。
正直に言うと、息子は勉強しません。
・学校から帰るとまずゲームとYouTube。塾のある日以外、机に向かう習慣がありません
・塾の宿題は、私が声をかけて、横について、ようやく半分やるかどうかです
・授業の復習は一切しません。テキストを見ると、授業中のノートもスカスカです
・本人に危機感はゼロです。「別に困ってない」と言います
塾の先生に相談しても、「小4のうちはこんなものですよ、続けていれば慣れます」と言われるだけです。でも、もう1年通って、慣れるどころか成績は下がっています。
夫と話しているのは、「このまま塾を活かせないなら、月謝がもったいないから、いったん辞めて自宅学習に切り替えるべきじゃないか」ということです。通信教材や市販の問題集で私が見たほうが、まだマシな気がするんです。
ただ、辞めた結果、余計にやらなくなったらと思うと決断できません。周りはみんな塾に通っているので、うちだけ辞めるのも不安です。
強い志望校があるわけではありません。ただ、このままだと中堅校がやっとだろうな、というのは模試の判定を見ればわかります。息子の可能性がこの程度だとは思いたくないのですが、親の欲目でしょうか。
塾を続けるべきか、自宅学習に切り替えるべきか。どちらが正解でしょうか。
私の答え:その二択は、どちらを選んでも同じ結果になります。問題は「場所」ではないからです
まず、ご相談の中のいちばん大事な一文から拾います。
「塾を活かせないなら、辞めて自宅学習に」お気持ちはよくわかります。ただ、冷静に考えてみてください。塾で勉強しない子は、自宅ではもっと勉強しません。塾には少なくとも週数回、強制的に机に向かう時間があります。それを外して、より意志力が必要な自宅学習に切り替えれば、結果は見えています。
かといって、「このまま塾を続ける」も答えではありません。1年続けて偏差値が52→48という事実が、「続けていれば慣れます」がこの子には当てはまらないことを、すでに証明しています。
つまりこれは、塾か自宅かという「場所」の問題ではないのです。どちらの場所でも機能していない、家庭での学習習慣という土台の問題です。土台がないまま場所だけ変えるのは、植木鉢を移動させて水やりを忘れているのと同じです。
「危機感ゼロ」は、小4として正常です
「本人に危機感がない」と書かれていましたが、ここは安心してください。小4に危機感がないのは、脳の発達として標準仕様です。
3年後の受験のために今日のゲームを我慢する——この判断をつかさどる前頭前野は、完成が20代半ばの、まだ工事中の脳部位です。「別に困ってない」は本心ですし、実際、小4の彼の世界では本当に困っていないのです。
だから、危機感を持たせようとする作戦(将来の話をする、模試の結果を見せて諭す)は、ほぼ効きません。彼の脳には、まだその話を受け取る受信機がついていない。必要なのは危機感ではなく、危機感がなくても回る「仕組み」です。
では、なぜ塾を活かせていないのか
ノートがスカスカ、復習ゼロ、宿題は半分。この状態の子が塾で何をしているかというと、「授業を浴びている」だけです。
学力がつくのは、授業を聞いた瞬間ではありません。自分の手で問題を解き、間違え、思い出そうとする瞬間——想起(思い出す作業)のときに、記憶は強化されます。私の恩師である東大の池谷研究室でも、記憶の定着には「入れる」より「出す」が決定的だということを研究してきました。
つまり息子さんは、塾で「入れる」だけ入れて、家庭で「出す」工程が丸ごと抜けている。これでは、どんな名門塾でも成績は上がりません。逆に言えば、塾の月謝の元が取れていないのは、塾のせいでも息子さんの能力のせいでもなく、家庭側の「出す仕組み」が存在しないからです。
「中堅がやっと」は、親の欲目ではなく、測定ミスです
「息子の可能性はこの程度なのか」というご質問に答えます。
いまの偏差値48は、息子さんの能力の測定値ではありません。「学習習慣ゼロ」という条件下での測定値です。授業を浴びているだけ、家庭学習ほぼゼロ。その条件で48が出ているなら、授業の吸収力そのものは悪くない、というのが正しい読み方です。
小4の偏差値は、地頭よりも学習習慣の有無がそのまま出ます。そして本当の分岐点は小5後半——割合・比・速さ・立体という抽象単元の壁——です。ここまでに「毎日机に向かう回路」ができているかどうかで、中堅か上位かが実質的に決まります。逆算すると、勝負はこの1年の習慣づくりであって、いま志望校のレベルを見積もることではありません。
やることは3つ。塾は辞めなくていい
① 「勉強しなさい」を、時間と場所の固定に置き換える。
夕飯前の30分、リビングの机。曜日で変えない、交渉しない。やる気や危機感に頼らず、歯磨きと同じ「合図で始まる日課」にします。習慣の研究でわかっているのは、行動を自動化するのは意志ではなく「毎日同じ時間・同じ場所」という合図だということです。最初の2〜3週間が山です。
② 中身は「新しいこと」ではなく「今日の塾の授業を出す」だけ。
30分でやるのは、通信教材でも市販問題集でもなく、その週の塾のテキストの基本問題だけ。つまり「出す」工程の追加です。これで浴びるだけだった授業が、初めて学力に変換され始めます。新しい教材を足さないのがポイントです。足すと続きません。
③ 量は「絶対にこなせる量」から。終わったら結果に触れない。
30分で確実に終わる量に絞り、終わったら「終わったね」とだけ言う。正解率、字の汚さ、態度への言及は最初の1か月封印です。「完了→承認」の小さなループが回り始めると、脳の報酬系が「勉強=小言」から「勉強=終わるとスッキリするもの」に書き換わっていきます。地味ですが、これだけが続く方法です。
この3つが回れば、いまの塾はそのまま活きます。場所の問題ではなかったのですから。
それでも、ご家庭だけでは難しい理由
ここまで読んで、おそらくこう思われたはずです。「その30分を毎日回すのが、いちばん大変なんです」と。
その通りです。親が声かけ役・監視役をやる限り、数週間で親子ともに息切れします。そして親が管理者になった瞬間、勉強は再び「親との攻防」に戻ります。
アルファジーニアスは、この「毎日の30分」を仕組みで回すために作りました。
私が脳科学に基づいて直接チューニングしたAI学習システムが、息子さんの日課の相手を毎日務めます。その日にやる量を本人が確実にこなせるレベルに自動調整し、終われば即座に認める——③のループを、親の代わりに回し続けます。答えは教えず、ヒントの出し方を調整して「自分で解けた」という手応えを毎日積ませる設計です。お母さまは監視者を降りて、「今日も終わったんだね」と言うだけの人になれます。
あわせて進路設計アドバイザリーでは、「うちの子は本当は何ができるのか」を、学習習慣が整った状態で測り直すところから始めます。いまの塾を続けるか、いつ判断するか、小5後半の山場までに何をどの順で仕上げるか。私たちはどの塾にも紐づいていないので、「辞める・続ける・使い方を変える」のすべてを、ご家庭側に立って言える立場です。
最後に
塾か、自宅か。その二択の前で止まっていた時間を、今日で終わりにしましょう。
答えは「塾を続けながら、家庭に30分の仕組みを作る」です。息子さんの可能性が中堅止まりかどうかは、習慣ゼロの今の数字ではわかりません。測り直すのは、土台を作ってからです。そしてその土台づくりに、小4の今より適した時期は、この先もう来ません。
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坂下絵美(さかした・えみ)
女子学院 → 東京大学薬学部 → 東京大学薬学系研究科(脳科学/海馬研究)→ コロンビア大学教育大学院(臨床心理学)。アルファ・アドバイザーズCOO(2020年〜)。アルファは18年間で累計8万名以上の学習・キャリアサポート実績。