「頭の良さ」の正体とは?東大、慶應、早稲田、MARCH大学生、総合商社、投資銀行勤務からメーカー勤務まで、8000人を見てきた私が伝えたいこと
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中学受験、インターナショナルスクール、そして「地頭」。
SNSや教育二関心のある方の中ではこうした話題が繰り返し議論されています。「結局、学歴がすべてなのか」「いや、環境が人を作る」どちらにも一理あります。けれど、8000人以上の就活生・社会人を見てきた私には、少し違った景色が見えています。
思考の「深さ」は、脳の筋力である
まず結論から申し上げます。
学歴と思考力には、ある程度の相関がある。ただし、それは「知識量」の差ではない。
私が東大薬学部で海馬や歯状回の研究をしていたとき、興味深い事実に気づきました。記憶の形成において重要なのは、単に情報を蓄積することではなく、情報同士を結びつけ、検証し、再構築する「処理の深さ」だということです。
これは、まさに「思考力」の神経科学的な正体です。
東大・慶應・早稲田、そしてMARCH——私はあらゆる層の学生と向き合ってきました。ゴールドマン・サックス、マッキンゼー、三菱商事に内定する人たちを間近で見てきた経験から言えることがあります。
「考える力」には、明確な差がある。そして、その差は後から埋められる。
思考が「浅い人」と「深い人」の決定的な違い
アルファでは18年間面接対策やケース面接の指導をしてきましたが、私は「思考の浅さ」に共通するパターンを見つけました。
1. 自分へのツッコミがない
優秀な人は、結論を出した瞬間に「本当にそうか?」と自問しています。脳科学的に言えば、これは前頭前野による抑制機能——衝動的な反応を止め、別の可能性を検討する能力です。
一方、思考が浅い人は「AだからB」で止まる。「でも、Cという条件ではDになるのでは?」という反証プロセスが働かないのです。
2. 抽象と具体を行き来できない
例えば「なぜ少子化が問題なのか」と聞かれたとき。
思考の浅い人は「年金が破綻するから」で終わる。あるいは「社会構造の問題」という曖昧な言葉で煙に巻く。
深い人は違います。「年金制度は現役世代の保険料で高齢者を支える賦課方式だから、人口構成が逆転すると一人あたりの負担が増える。具体的には、2050年には現役1.2人で高齢者1人を支える計算になり……」と、数字と構造を往復できる。
この「解像度」の差は、面接官には一瞬でわかります。
3. 言葉の定義に無頓着
「御社の強みであるグローバル展開に貢献したい」
就活で何百回と聞くフレーズですが、「グローバル展開とは具体的に何を指していますか?」と聞くと、多くの学生が固まります。
言葉を曖昧なまま使うと、論理は砂上の楼閣になる。これは、脳が「パターンマッチング」で済ませようとする怠惰の表れでもあります。
なぜ「環境」が思考力を左右するのか
では、なぜ学歴と思考力に相関が生まれるのか。
私は、「知的負荷のかかる環境に身を置いた時間の総量」だと考えています。
難関校の受験勉強は、単なる暗記ではありません。とくに記述式の問題では、「知っているか」ではなく「論理的に説明できるか」が問われる。この訓練を10代の脳の可塑性が高い時期に数千時間こなすことで、論理の「穴」に対する感度が鍛えられるのです。
さらに重要なのが、周囲の「当たり前」の水準。
「それ、論理が飛躍していない?」と日常的に指摘し合う環境にいると、浅い思考を出すことが「恥」になります。このピアプレッシャーが、思考を自動的に深めさせる。
インターナショナルスクールや中学受験の議論でよく見落とされるのは、この「環境の重力」の話です。どの学校に行くかより、どんな知的負荷のかかる環境に身を置くか——それが思考力を決定づけます。
「今から」深い思考を手に入れる方法
ここまで読んで、「では、今から何をすればいいのか」と思われた方へ。
脳科学の知見から言えることがあります。思考力は「才能」ではなく「習慣」です。
神経回路は、繰り返し使うことで強化される。これをヘブ則(Hebb's rule)と呼びます。「一緒に発火するニューロンは、一緒につながる」——つまり、深く考える習慣を持てば、深く考える回路が太くなるのです。
具体的なトレーニングを3つ、お伝えします。
1. 「二段先」を考える癖をつける
結論を出したら、必ず以下を自問してください。
So What?(だから何が起きる?)
→その結論の「二次効果」まで考える
Why So?(本当にそう言える?)
→逆の可能性、別の原因はないか検討する
これを習慣化するだけで、思考の「射程」が劇的に伸びます。
2. 「専門用語」を封印する
「シナジー」「レバレッジ」「イノベーション」——便利な言葉ほど、思考を止める罠になります。
試しに、小学5年生にもわかる言葉だけで説明してみてください。
例:「金融レバレッジで利益を最大化する」
→「100円しか持っていない人に銀行が10,000円貸して、大きな機械を買わせる。機械のおかげで1時間に作れる量が100倍になるから、借りたお金以上に稼げる——はずだけど、売れなかったら借金だけ残る」
言葉を分解すると、論理のごまかしが効かなくなります。
3. 「文章」ではなく「構造」で考える
箇条書きではなく、矢印(→)や包含関係(⊃)、対立関係(⇔)で図解する習慣をつけてください。
思考が浅い人は「文章」で考え、深い人は「構造」で考えている。図にしてみると、「この矢印、一本道すぎないか?」と自分で気づけるようになります。
伝えたいこと:「自分への厳しさ」が未来を分ける
結局、思考の深さとは「自分への誠実さ」の表れです。
「これでいいや」と妥協せず、自分の論理に自分でツッコミを入れられるか。その習慣を持てるかどうかが、学歴というラベルを超えて、本当に評価される人になれるかの分岐点だと、私は考えています。
アルファでは、この「思考の深さ」を鍛えるプログラムを提供しています。脳科学の知見に基づいた、再現性のあるトレーニング。興味のある方は、ぜひ一度プログラムの詳細をご覧ください。
坂下絵美(さかした・えみ)
Alpha Advisors COO。東京大学薬学部・薬学系研究科(池谷裕二研究室)にて海馬・歯状回の研究に従事。コロンビア大学教育大学院で臨床心理学を学ぶ。17年間で8000人以上のキャリア支援に携わり、ゴールドマン・サックス、マッキンゼー、三菱商事など難関企業への内定者を多数輩出。脳科学に基づく「思考力トレーニング」もアルファで行っています!お子様の勉強相談も大好評、10歳までにご相談をおすすめします。