賢いあなたが、なぜ評価されず、稼げず、外資にもファンドにも行けないのか?受験で勝った脳が、仕事で負ける理由
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賢いあなたが、なぜ評価されず、稼げず、外資にもファンドにも行けないのか?受験で勝った脳が、仕事で負ける理由
皆さん、こんにちは。アルファアドバイザーズCOOの坂下絵美です。
女子学院から東京大学理科二類に現役合格し、東京大学大学院薬学系研究科で脳科学(海馬)を研究、コロンビア大学教育大学院で学びました。現在はアルファアドバイザーズで、皆さんのキャリア戦略・転職・受験を統括しています。
「頭がいいね」と褒められた小学5年生の38%が、その後に失敗した問題の点数を、他校の見知らぬ子ども宛てに偽って報告しました。「よく頑張ったね」と褒められた子どもでは、13%です(Mueller & Dweck, 1998)。
同じような子どもたちを、無作為に二つに分けただけです。違ったのは、かけられた言葉が「賢い」だったか、「頑張った」だったか。それだけです。
この記事は、「賢い」と言われて育ってきたあなたに向けて書きます。
賢いのに、なぜ報われないのか
東大、京大、一橋、早慶。大学院。難関資格。TOEIC900点。同期より早く仕事を覚え、上司よりも正確な資料を作る。
なのに、評価されません。年収は600万円台で止まっています。外資系の面接は最終で落ちました。ファンドには、書類すら通りません。一方で、あなたから見れば「そこまで賢くない」同期が、外資系の名刺と、年収2,000万円を手にしている。
私は18年以上、8万人を超える方々のキャリアを見てきました。その中で、この「賢いのに、報われない人」を、数え切れないほど見てきました。そして、脳を研究してきた目で見ると、原因ははっきりしています。
努力が足りないのではありません。才能が足りないのでもありません。運でもない。
あなたの「賢さ」を動かしている脳の回路が、受験仕様のまま、一度も書き換えられていないのです。
賢さが、入場券にすらならない世界
まず、数字を直視しましょう。
国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者5,137万人の平均給与は478万円。年収1,000万円を超える人は6.2%。2,000万円を超える人は0.6%、約160人に1人です。
この0.6%の椅子は、実在します。外資投資銀行は、アソシエイトで1,500万〜2,500万円、VPで3,000万〜5,000万円。PEファンドは、アソシエイトで1,000万〜2,000万円、VPで1,500万〜3,000万円、ディレクターで2,000万〜5,000万円、パートナーになれば1億円が見えます。ヘッジファンドは、アナリストで数千万円、PMに上がれば億の世界です。
そして、ここが重要なのですが、この椅子に座っている人は、全員賢いのです。
東大、ハーバード、スタンフォード、ウォートン。彼らの中で「賢さ」は、勝負の土俵にすら乗りません。全員が持っている前提条件だからです。差がつくのは、賢さの「外側」にある何かです。
その「何か」は、才能ではありません。練習量でもありません。
心理学者Macnamaraらが2014年に発表した大規模メタ分析では、専門職の成果の差のうち、意図的練習の量で説明できるのは1%未満でした。音楽では21%、スポーツでは18%。しかし専門職では、1%未満。賢さの土俵に乗った後の差は、「どれだけ練習を積んだか」では説明できないのです。
では、何で決まるのか。脳の使い方の「クセ」です。
受験脳の正体——「賢さを証明し続ける回路」
冒頭の実験に戻ります。
Mueller & Dweck(1998)は、小学5年生に問題を解かせ、全員に「高得点だった」と伝えた後、ある子には「頭がいいね」、ある子には「よく頑張ったね」と声をかけました。そのあと、難しい問題で全員に失敗を経験させます。
結果は、残酷でした。
「頭がいい」と褒められた子どもたちは、褒められた直後、次に取り組む課題として「学べる難しい問題」より「確実にできる簡単な問題」を選びました(55%が成績重視の課題を選択。努力を褒められた子は23%)。失敗後の成績は落ち、課題を楽しめなくなり、そして38%が、自分の点数を、見ず知らずの相手に対してすら偽って申告したのです。
何が起きたのか。「賢い」というラベルを貼られた瞬間、脳にとって賢さは守るべき資産になったのです。資産は、失うのが怖い。だから、失う可能性のある挑戦を避けます。失敗したら、なかったことにします。
あなたは、このラベルを10歳で一度貼られたのではありません。12年間、毎年、毎学期、模試のたびに、合格発表のたびに、貼り直され続けてきました。
そして受験というゲームは、この回路を極限まで太くする設計になっています。
正解が必ずある。一人で解く。減点方式。速く、正確に。間違えたら、落ちる。
この設計に最適化された脳を、私は「受験脳」と呼んでいます。正解を当て、減点を避け、賢さを証明する回路です。受験に勝つには、これ以上ない脳です。
問題は、社会に出た日から、ゲームのルールが正反対になることです。
正解がない。人を動かさないと、成果が出ない。加点方式——信頼の積み上げ。決める速さが問われる。間違えて、直した回数が、実力になる。
12年かけて太くした回路が、入社初日から、あなたの足を引っ張り始めます。賢い人ほど、受験脳が太い。だから、賢い人ほど、このゲームで苦しむのです。
一つ、誠実に添えておきます。この分野の研究には議論があります。Siskらの2018年のメタ分析は、マインドセットを変える介入が学業成績に与える効果は小さいと報告しましたし、Li & Bates(2019)は中国の子どもを対象に、褒め方の効果を再現できなかったと報告しています(この報告自体にも、再分析による反論が出ています)。ただ、私が依拠しているのは「気の持ちよう」の話ではありません。「賢い」と評価された直後に、人が挑戦を避け、失敗を隠すという行動の変化が、実験で観察されたという事実です。そしてそれは、私が8万人のキャリアの現場で、毎日見ている光景でもあります。
受験脳は、4つの現場でこう負ける
1. なぜ評価されないのか——あなたは、上司の海馬に残っていない
評価は、事実ではありません。上司の脳の中の、記憶です。
そして記憶には、はっきりした偏りがあります。神経科学者McGaughの研究(2004)が示したとおり、感情を伴う出来事の記憶は、扁桃体の働きによって強く固定されます。逆に言えば、感情の動かない出来事は、脳に残りにくいのです。
あなたの仕事は、正確で、速く、ミスがない。減点がゼロ。受験脳の、完璧な成果です。でも、上司の脳には、何も刻まれません。上司の海馬に残っているのは、「あの修羅場で手を挙げた○○」「あの炎上案件を拾った○○」です。減点ゼロの人は、「印象に残らない人」として処理されます。
もう一つ、賢い人に特有の落とし穴があります。
スタンフォード大学のNewton(1990)の実験です。よく知られた曲のリズムを机で叩き、相手に曲名を当ててもらう。叩く側は「50%は当たる」と予想しました。実際に当たったのは、120曲中3曲。2.5%です。叩く側の頭の中では、曲が鳴っている。だから相手にも聞こえていると思い込む。これが「知識の呪い」です。
賢い人ほど、この呪いが強い。自分には見えているから、相手にも見えていると思ってしまう。だから報告は経緯から始まり、メールは長く、資料は分厚く、結論は最後に来る。上司の脳に、負荷をかける人になるのです。
出世は、「上司の仕事を楽にした人」から順番に決まります。相手の頭の中が見えない人は、どれだけ優秀でも、引き上げられません。
そして、決定的なのが「正論」です。
会議で、正しいことを言った。上司が黙った。あなたは勝った。そして、次の案件から外された。心当たりはありませんか。
心理学者Stanovichらは、1,400人以上の大学生を調べ、自分の立場に都合よく物事を評価する「マイサイドバイアス」が、知能(SATスコア)とほぼ無関係であることを示しました(2007)。さらにKahanら(2017)は、数理能力が高い人ほど、自分の信念に合わないデータを「上手に」読み違えることを示しています。
賢さは、自分の間違いを見つける力にはなりません。自分の正しさを証明する力になるのです。フィードバックをもらった瞬間、頭の中で反論が組み上がる。しかも、その反論は論理的で、上司より正しかったりする。だから、余計にたちが悪いのです。
Casciaro & Lobo(2005)が5つの組織、1万件以上の仕事上の関係を調べたところ、人は「有能だが嫌なやつ」より「愛される凡人」を、仕事のパートナーに選んでいました。有能さは、好かれていなければ、使われないのです。
賢いあなたが評価されないのは、賢さが足りないからではありません。賢さが、上司の海馬に残らない形で、相手に見えない形で、正論という形で、使われているからです。
2. なぜ稼げないのか——受験脳は「受け取れない」
年収は、実力で決まりません。あなたが「口にした数字」と「受け取った評価」の合計で決まります。
ここで、受験脳の二つ目の後遺症が出ます。
Eisenbergerら(2003, Science)は、社会的に拒絶されたときの脳が、身体的な痛みの「つらさ」を処理する領域(背側前帯状皮質)を活性化させることを示しました。断られることは、脳にとって、痛みと重なる回路で処理されるのです。
賢い人は、この痛みを避けることに長けています。断られない選択だけをしてきたからです。合格圏の大学を受け、受かる資格を取り、通る企画だけを出す。
だから、年収交渉をしません。「がめつい」と思われるのが怖い。実績を聞かれれば「大したことはしていません」と答え、褒められれば「たまたまです」と返す。同期が転職で年収を300万円上げた話を聞いて、「交渉なんて品がない」と思ったことはありませんか。
Clance & Imes(1978)が「インポスター現象」と名づけたこの心理は、もともと、高い達成を遂げた人たち(原著では女性たち)の臨床観察から生まれたものです。実績があるのに、自分は偽物だと感じる。実績のある人ほど、これを抱えています。
受け取れない人のところに、お金は来ません。年収は、自己評価に収束します。あなたが自分に付けた値札より高く、他人があなたを買うことはないのです。
さらに、受験脳は、自己投資をしません。「自分で本を読めばわかる」と思っているからです。実際、わかる。わかるけれど、やらない。知っているのにやらない人と、知らない人の年収は、同じです。数万円の講座を「高い」と言う人が、年収1,000万円の差を、毎年払い続けている。私はこれを、賢い人の一番高い買い物だと思っています。
3. なぜ外資に行けないのか——面接で、賢さは見られていない
外資投資銀行、外資コンサル、外資テックの面接に落ちる賢い人には、共通点があります。
正解を言おうとしているのです。
面接官は、あなたが賢いことを知っています。書類でわかるからです。だから面接で見ているのは、別のものです。修羅場の履歴。自分で決めた経験。失敗を、どう認めて、どう直したか。朝4時まで、一緒に働きたいと思えるか。
受験脳は、ここで詰みます。「失敗した経験を教えてください」に、本当の失敗が出てきません。減点を避けて生きてきたから、挑戦の履歴がないのです。代わりに出てくるのは、「失敗に見える成功談」。面接官は、それを一瞬で見抜きます。
ケース面接でも同じです。知識の呪いを抱えた賢い人は、分析を積み上げて、「So what?(だから何?)」がない。正しい分析を、相手が動ける形に翻訳できないのです。
私たちが外資系トップ企業にレコメンドするのは、賢い人ではありません。賢さの上に、決めた履歴と、直した履歴が乗っている人です。
4. なぜファンドに行けないのか——間違いを認められない脳は、運用の世界で一番嫌われる
ヘッジファンドとPEファンドが人を採るとき、IQは見ていません。IQは、全員にあるからです。見ているのは、判断のクセです。
ヘッジファンドで求められるのは、60%の確信で張り、間違えたら即座に認めて損切りし、次に進める脳です。「正解が見つかるまで決めない」受験脳は、ここで最悪の相性になります。決めない。決めたら、間違いを認めない。認めないから、損失が膨らむ。運用の世界で、これは能力不足ではなく、「資格がない」と判定されます。
PEファンドでは、投資先の経営者を動かせなければ、仕事になりません。相手不在で正論を振りかざす人は、投資先の社長に嫌われて終わります。数字は読めても、人が動かないのです。
ファンドに行けないのは、賢さの問題ではありません。「間違える勇気」と「相手の頭の中を見る力」の回路が、受験で一度も鍛えられなかっただけなのです。
一番怖い話——我慢は、あなたの海馬を削っている
ここまで読んで、「でも自分は耐えられる。もう少し我慢すれば」と思った方へ。これは、私の専門分野からの警告です。
ラットを用いたVyasら(2002)の研究では、慢性的な拘束ストレスにさらされると、記憶と学習を司る海馬の神経細胞の樹状突起が萎縮し、逆に、恐怖を司る扁桃体の樹状突起は肥大しました。動物実験ではありますが、ヒトの脳でも同じ方向の変化が起こりうると考えられています。
つまり、我慢を続けるほど、あなたの賢さの源泉である海馬が削られ、恐怖の回路が太くなる方向に、脳は動くのです。賢い人は、我慢できてしまいます。しんどくても「みんな大変だから」と黙り、周りからは「大丈夫そう」に見える。その我慢が、脳の中で、最も守るべき器官を静かに損なっていきます。
我慢は、評価されません。成果が評価されます。耐えている間に、動いた人が上に行き、あなたの海馬は削られる。これが、我慢の本当の代償です。
希望——あなたは、一度、脳を作り替えたことがある
ここまで、厳しいことを書いてきました。でも、私がこの記事を書いた理由は、絶望させるためではありません。逆です。
脳は、大人になってからでも、物理的に変わります。
Maguireら(2000)は、ロンドンのタクシー運転手の海馬(後部)が一般の人より大きく、しかも運転手歴が長いほど大きいことをMRIで示しました。その後の追跡研究(Woollett & Maguire, 2011)では、数年の訓練を経て資格を取った運転手の海馬が、訓練前より実際に大きくなっていたことも確認されています。大人の脳は、経験によって構造を変えるのです。
そして、あなたには、その実績がすでにあります。
受験で、あなたは一度、自分の脳を作り替えました。12年かけて、正解回路を太くした。誰にでもできることではありません。あなたには、脳を意図的に作り替える能力があるのです。
問題は、その能力を、間違ったゲームに向けて使い続けていること。それだけです。今度は、正しいゲームに向けて使えばいいのです。
自己診断——あなたの運転席に、受験脳は座っていますか
7つのうち、いくつ当てはまりますか。
3つ以上なら、あなたの運転席には、受験脳が座っています。5つ以上なら、その脳が、あなたの年収と椅子を、今この瞬間も決めています。
脳改革プログラムでやること——受験脳から、シゴデキ脳へ
私がアルファでお伝えしているのは、受験脳を捨てることではありません。受験脳が持つ処理能力はそのままに、運転席に座る回路を入れ替えることです。
私たちは、時間と正確さを切り売りして稼ぐ脳を「労働脳」、成果と信頼で稼ぎ、決めて人を動かす脳を「シゴデキ脳」と呼んでいます。受験脳は、労働脳の最も純度の高い形です。その処理能力を、シゴデキ脳の方向に向け直します。
やることは、三つです。
一つ、診断。 あなたの脳のどの回路が、どの場面で運転席を握っているかを特定します。正解回路か、証明回路か、拒絶回避回路か。人によって、支配的な回路は違います。ここを外すと、全ての努力が空回りします。
二つ、書き換え。 「正解を当てる」を「期待値で決める」に。「減点を避ける」を「加点を取りに行く」に。「賢さを証明する」を「間違いを直した回数を増やす」に。恐怖に名前をつけると、恐怖は小さくなる——感情を言葉にするだけで扁桃体の反応が弱まることは、Liebermanら(2007)が示しています。
三つ、反復と出口。 神経可塑性は、一度の決意では起きません。挑戦の履歴を、意図的に、小さく、何度も積みます。そして、実力と方向性が揃った方には、私たちは自分たちの名前で、外資投資銀行・PEファンド・アセットマネジメント・総合商社へレコメンドします。18年以上、8万人以上の支援で築いてきた出口です。
入口は、アルファのキャリア戦略セッション(48,000円)です。あなたの脳の運転席を一緒に確認し、長期ゴールの言語化と、逆算の次の一手まで組み立てます。これがそのまま、最初の脳改革のトレーニングになります。
賢いあなたが報われないのは、賢さが足りないからではありません。賢さの使い方が、受験仕様のままだからです。そしてそれは、何歳からでも書き換えられます。
まずアルファに来て、あなたの脳を、一緒に見るところから始めませんか。
今すぐアルファに相談だ。
アルファアドバイザーズ | http://www.alpha-academy.com/
執筆者プロフィール
脳科学パート:坂下絵美(アルファアドバイザーズCOO) 女子学院→東京大学理科二類現役合格→東京大学大学院薬学系研究科(脳科学・海馬)→コロンビア大学教育大学院。18年以上にわたり8万人以上の勉強・受験・キャリアを支援してきた、日本最強の勉強・受験・キャリアアドバイザー。
キャリアパート:入住 壽彦(アルファアドバイザーズ代表) 住友商事→シカゴ大学Booth MBA→ゴールドマン・サックスIBD→アルファアドバイザーズ創業。
出典